出雲から海岸沿いの道を東へ。江津市に伝わる焼き物が石見焼(いわみやき)です。ここに窯業が伝えられたのは一七〇〇年代後半と言われており、現在も幾つかの窯元が残りその技を伝えておられます。 石見焼に使われるのは地元で産出される都野津層の粘土。極めて高い耐火度数が特徴で、一二五〇度以上で焼き締められているため非常に硬く強く、凍結、酸・アルカリなどの化学薬品にも耐久するという特徴が有ると言われています。 「石見焼のツボは、味噌や漬け物が長持ちすると言われるんですよ。」窯元を訪ねた時に職人さんはそうも教えてくださいました。 一口に陶器と言っても、その土地の粘土が持つ特徴によって用途には得手不得手があります。そして、どういうわけか昔の人はそれを理解して道具を仕立てていたようです。中の物の呼吸を妨げずに味噌や梅干を保管していただくことができます。奥行きのある藍色は洋風のお台所にも置いていただきやすいですね。
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